むち打ち症の症状は、首の痛みだけでないことが多いため軽視できません。頭痛や肩こり、背中の痛み、めまい、吐き気、慢性疲労など、多岐にわたります。自覚症状があったらすぐに医療機関で受診してください。症状が悪化したまま放置すると手足が不自由に感じるようになったり、自律神経失調症や精神的な障害まで引き起こされることも懸念されます。
なぜこうした症状が起きるのでしょうか？

まず、むち打ち症というのは首の筋肉や靭帯・関節包の損傷により引き起こされるものです。しかし同時に首の上半分は神経の中枢センターである脳に直結しているため、状態によってはめまい、自律神経失調症やうつ病、パニック障害など、首の痛みとは一見関係がないかのように見える症状が引き起こされてしまうのです。

ここでちょっとした注意点があります。　むち打ち症の自覚症状が現れるのは、一般的に事故から２～３日後に強くなるということがほとんどなのですが、人によっては１週間後ということもあります。そうすると、ご本人も頭痛、めまい、吐き気といった症状の原因が交通事故によるものと認識しないこともあるのです。そうした症状で病院に行く場合、ほとんどの方は内科を受診するでしょう。もちろん医師も「頭痛」「めまい」「吐き気」といった症状から診断していくでしょう。するとむち打ち症とは全く別の病名で診断されてしまうこともあるのです。

頭痛やうつ症状を抑えるための薬を処方されれば一時的には症状は回復したように思えるでしょうが、それは薬の作用によって症状が抑えられているのであって根本的回復ではありません。人によってはそうした症状で何年も苦しむこともあるでしょう。ぜひこういった意外な症状もあることを知っておいてください、そしてむち打ち症に対する処置を適切に受けてほしいと思います。